2024.11.04
コラム「無宗教のお別れ会:心に響くセレモニー」
先日、無宗教のお別れ会をお手伝いさせていただきました。このお別れ会は、宗教に縛られず、故人の人生を讃え、感謝の気持ちを伝える温かい場となりました。
当日のセレモニーの内容は以下の通りです。
1分間の黙祷 まず、1分間の黙祷から始まりました。この静かな時間は、故人を偲び、それぞれの想いを胸に刻む大切なひとときでした。
故人のストーリー 続いて、故人についてのナレーションと想い出の写真がスクリーンに映し出されました。故人がどれほど愛され、多くの人々に影響を与えたかが伝わる瞬間でした。
家族の言葉 喪主のご長男様からは、故人への感謝の言葉が述べられました。その言葉には、深い愛情と尊敬が感じられ、会場の誰もが心を打たれました。また、故人の奥様からは、二人の馴れ初めや飾らない愛情と感謝の気持ちが語られました。感動的なエピソードに、皆が涙を浮かべていました。
手作りの感謝状 特に印象的だったのは、遺族の提案で行った、手作りの感謝状です。感謝状には、故人への深い感謝の気持ちが込められており、それを故人に直接贈呈する姿はとても温かいものでした。
焼香とお別れの儀 無宗教ではありますが、皆が親しみやすい焼香を行い、故人への弔辞の気持ちを込めて手を合わせました。その後、会葬者全員がお花やブーケを手向け、故人に最後の別れを告げました。棺いっぱいに敷き詰められた花々は、故人への愛と敬意を象徴していました。
無宗教のお別れ会は、故人の人生を讃え、家族や友人が心からの感謝と敬意を伝える特別な場です。宗教に縛られず、自由に想いを表現できることが、このセレモニーの魅力です。無宗教の葬儀は個々の価値観を尊重し、自由な形式で行われる一方、宗教色のある葬儀は伝統や儀礼に基づき、神聖な雰囲気で進行することで、宗教的コンフォートを感じる事ができます。どちらも故人を偲び、感謝の気持ちを伝える大切な場ですが、アプローチや雰囲気には大きな違いがあります。
近年では、人とのつながりが希薄になっているとよく耳にします。確かに、葬儀の場においても会葬者の減少などが見受けられることがあります。しかし、故人を送る家族の姿を見ていると、葬儀の本質が変わらないことを深く実感します。宗教の違いや無宗教、また家族葬など、葬儀の形式や規模にかかわらず、大切なのはそこに込められた気持ちです。
故人への思いを大切にしながら、心を込めて送り出すことこそが、葬儀の真の意味なのだと思います。この文章を締めくくるにあたり、形式や慣習にとらわれることなく、気持ちを大切にしていただきたいと思います。
本コラムの一部に含まれる葬儀に対する見解は筆者個人のものであり、必ずしも当社の考え方と一致するものではありません。
このコラムを書いたのは、JA葬祭センター 塩屋 龍一